YEAR: | 1996.10 |
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CITY: | Hyogo/Higashinada |
この住宅は、兵庫県浜芦屋に位置する。 阪神大震災の影響もあり、閑静な個人住宅街も、集合住宅が建ち並ぶようになった。平面計画に於いては、プライバシー確保を考慮して、欧米の「コートハウス」の考えを採用した。 建物はL字型の平面を持ち、南面道路側・東面隣地側に高さ7mの塀を設ける事で、パティオを中心に取り囲むような配置をしている。 機能的・意図的に配した入り組んだ空間の構成は、常に一地点からその全貌を見せずに、次なる空間を期待させ、この住宅に於ける「空間の回遊性」を表現した。 主要構造部には、壁柱ラーメン構造を採用し、内外部共に壁面の凹凸の無い形状を確保している。 これらはある種、空間に無機的な印象を与えがちだが、仕上材に自然素材を用い、空間に有機的要素を取り込むことにより、マテリアルの持つ「精神性」を活かしている。 更に、この「精神性」を高めるため、「静」であるピンク色を部分に用いた。 この空間は、決して家具や生活機能を排除するのでは無く、住まう事への豊かさを提供している。 周辺環境に対しては、閉鎖的な構成を採るが、スリットや格子を介し、高い塀の内側を垣間見せる事により、道行く人にも「やすらぎ」を与えている。